okeiのコトバ~okeiオーナー片寄雄啓の話~

神奈川大学を卒業し、広告代理店で6年間勤務。ウルフルズ「ええねん」を聞いて、飲食店独立を決断し、退社。2年弱の修業を経て、2005年に29歳で新橋でokeiを開業。(現在、Pizzeria Terzo okei,Viva okei,酒場961,OKEI BREWERY,Atelier de terrine maison okei,filoの6店舗)飲食の事、カズやサザンのこと、人生の事。コトバノチカラを信じて日記に示したいと思います

Thanks Tagami Fes.2007

pizzeria-okei2007-07-02

田上君の最終日、6月30日。
僕は大きな仕込みをしていた。

彼には一般のお客様の貸し切りということになっていて、そのあと送別会をスタッフだけでやると伝えていた・・・。
実際には4月後半から彼が仲良くしているお客様と僕の知り合いの中で彼と仲良くしている方々へ通達し、大送別会を企画していたのだ。

この一か月ほどこのブログが少し短かったりしていたのは、その準備であまりに疲れていたため。

ただお店を辞めるというわけでなく、彼が独立という道を選んだという時点で
僕の気持は動いていた。

「不安や絶望や叱咤叱咤ばかりが続くだろう。だからその時にその壁を見てもひるまず頑張れる
何かを残してあげたい」と。

その結果がその会。題して「Thanks Tagami Fes.2007」

当日、彼に買い物に行かせ、戻ってくる10分の間に会場を作り上げ、彼を迎えた。

彼の唖然とした表情はいまでも目に残っている。

そして続々と集まる仲間たち、総勢70名以上になった。
僕の知り合いと彼と日ごろ仲良くしている常連さんが半々。

温かい会となった。

当日用意したワインは彼のお店のロゴをモチーフにしたラベルに張り替えたもの。
そしてお店には彼を慕う者たちがあしらわれたポスターが貼られ、大きなテレビには、フェスのロゴが映し出された。

モエシャンの3Lシャンパンは開くわ、とにかく大パーティにした。
それは自分がお店をやるというつらさと楽しさを味わってきたから。

今日だけは最高の気分にさせたかった、それが僕のオーナーとして、友人としてできることだったから。

常連さんたちは人それぞれ沢山の贈り物を用意してくれた。
ケーキを焼いてくる人、写真をアルバムにしてくれた人、Tシャツ、花束などなど。。。

とにかく彼と同じように僕も嬉しかった。
僕のスタッフを愛してくれていることが。

本当にお店をやって彼とともにここで過ごして良かったと思った。

会も終盤にかかり、僕らはライブをした。

彼のためにこの2か月練習した曲を突然披露したのだ。
1階やきとんや店長とokei合同のバンドとして。

本当に大盛り上がりでこちらがびっくりした。

一生懸命演奏し唄った。
彼の心に突き刺さるように歌ったつもりだ。
頑張って!ずっと味方だ!何があっても守る!という気持ちをこめて歌ったつもり。

愛でしか感謝が出せないと思ったから。

僕がこの店でこうして幸せに入れることへの感謝である。

まったく手にしたことのない楽器。
練習で手がおかしくなった。
ワインを開けるたびに左手が痛かった。

でもあの日のためにはしょうがないと思った。

そして演奏が終わり、最後のサプライズでこの企画に参加してくれた方々への感謝もこめて
その方々をビデオで写真と名前を流した。
いわゆる映画で言うエンドロール。

僕が彼にしてあげられるいま最大のことをすべてした。

でもそれは結果。
彼の結果なのだ。
僕はしてあげたのではなく、彼に返したのだ恩を。

人は一人では生きていけない。
そのことを伝え、実践していただけ。

朝まで飲んだ昨日を忘れるな!
やるんだ、やるしかない。
もう決めたんだから。

そういう気持ちを込めたあの会だった。

そしてその会は僕に新たな勉強をさせた。
ああして音楽を奏でるため、練習していくうちに
スタッフみんながまとまっていった。

音を楽しむためには、ある程度の辛さも必要。
でも奏でることがもし出来たら、それが音以外の楽しみを生むんだと。

何事も何かを一生懸命やればそれ以外のお土産を神様はくれるのかもしれない。

そしてそれが次への勇気ときっかけと人への優しさになるのだろう。

僕はあの日、そんな優しい温かい大切な気持ちを沢山の人にもらえた。

田上君、10か月お疲れ様でした。
そしてこれからの1日は本当に短くなります。
うまくいかないことばかりが続きます。
でも夢のような日々も頑張れば始まります。

夢をかなえるのは簡単ではないから。
でもかなえられる人は本当に少ないの。
だからかなえたら一生をかけて恩返ししていこうな。

お客様、家族、友人、恩人・・。
恩返しはお店が成功していくことです。

それを見せていくことでしかできないの。

お互い男としてかっこよく優しく生きていこう。
また酒の酔いがまわるまで飲みましょう。

頑張っていこうか〜♪