こうして田上君のことを書いて三日目か。
よくよく考えてみると彼がいたのはたった10か月。
出会って一年足らずか。
人というのは何かに集中している期間はとても長く感じたり、短く感じたり・・・
人それぞれ感覚はあるけど、いつもとは違う時間の流れになるものだ。
僕も同じく彼との10か月の間隔をとても長く感じている。
彼が特別出来た男でもなければ、大した男でもない。
むしろ入ってきたときは、まだまだ人とのかかわりが下手で無口な奴だった。
いろいろ文句も言った。
でもそれはお店を持ちたいと言っていたから。
この日記にも書いたことがあるだろう、文句を。
でもそれはただ単にいらいらしていたわけでなく、
やらなきゃいけないことをやってなかったりすると嫌だっただけ。
日に日に彼は男になり、今は人の目を見て空気も読め、
自己主張ができ、何より根拠のない自信まで付いた。
細くすれば根拠のない自信は見えない自分への自信なので
僕はお店や会社をやるものには必要な要素だと思っている。
誰にもわからない、自分だけがわかっている自分の強み。
それこそが、オリジナリティの始まりであり、自己啓発の一つだから。
今日もこうして彼を惜しむ方からの花や贈り物が後を絶たない。
自分が作ったお店でこうして幸せがうまれていくことが
僕がどれだけ嬉しいか君にはまだわからないだろう。
わかるのはお店を出して、お客様が来て、生活ができて
スタッフを愛することができたら。
その日には一緒に飲もう。
その酒が来ることを待っている。