先週の土曜日、静岡県富士市から父親が来た。
三度目の結婚で幸せを手に入れた父。
僕らは中学から一緒に暮した事がない。
年に何度か会うことがある程度。
会わないこともあった。
手紙のやり取りが続いた年もあった。
父親の奥さんの許可が出ず、連絡さえ取れない時期もあった。
ま、言うほど不幸な人生ではないのだが・・・。
だからお互い一緒に暮らしていた時の記憶が強いと思う。
僕としては厳格で曲がったことが嫌いで、すぐ怒られる。殴られそう・・・。
今でもそんな気がしている。
でもこないだは違った。
富士から新幹線に乗ってきた父。
服装はカジュアルでリュックサックをカワイくしょっていた。
しかもかなりでかいリュックだった。
そのリュックにはでかいスイカが入っていた。
お土産で持ってきてくれたのだ。
そんな父の背中は丸かった。
言葉も丸くなり、性格も丸くなった。
今のお店の状況と新しいスタッフの紹介、これからの展望と課題などを
説明した。
いつも固い話が多い。
そして父は言った
「好きなようにやってみろっ」
ゾクッとした。
広告代理店を辞める時、マジで縁を切られるんではないかと思うほど反対された。
「お前はどうしてそうなんだ!」
「甘くないぞ、社会は」
そんな父からの初めての「許可」だったような気がする。
親に初めて認められて・・・
はじめて褒められて・・・・
そんな嬉しさだった。
僕は父と離れて暮らして良かったのかもしれない。
こうしてこんな感動があるから。
離婚してくれてよかった、こんな気持ちを味わえたから。
一階のやきとんやにも分けてあのスイカを食べた。
食べながら思った。
これからは父や母を自分が支えていかなければならないのだと。
丸い背中をみて、自分の気持ちを再認識した。
性格も顔もあんまり似ていない父と僕。
彼は厳格、僕は楽天。
でもその差はあまりない気がした。
スイカを食べてそんな気がした。