okeiのコトバ~okeiオーナー片寄雄啓の話~

神奈川大学を卒業し、広告代理店で6年間勤務。ウルフルズ「ええねん」を聞いて、飲食店独立を決断し、退社。2年弱の修業を経て、2005年に29歳で新橋でokeiを開業。(現在、Pizzeria Terzo okei,Viva okei,酒場961,OKEI BREWERY,Atelier de terrine maison okei,filoの6店舗)飲食の事、カズやサザンのこと、人生の事。コトバノチカラを信じて日記に示したいと思います

すいか

先週の土曜日、静岡県富士市から父親が来た。
三度目の結婚で幸せを手に入れた父。
僕らは中学から一緒に暮した事がない。
年に何度か会うことがある程度。
会わないこともあった。

手紙のやり取りが続いた年もあった。
父親の奥さんの許可が出ず、連絡さえ取れない時期もあった。

ま、言うほど不幸な人生ではないのだが・・・。

だからお互い一緒に暮らしていた時の記憶が強いと思う。
僕としては厳格で曲がったことが嫌いで、すぐ怒られる。殴られそう・・・。
今でもそんな気がしている。

でもこないだは違った。

富士から新幹線に乗ってきた父。
服装はカジュアルでリュックサックをカワイくしょっていた。
しかもかなりでかいリュックだった。

そのリュックにはでかいスイカが入っていた。
お土産で持ってきてくれたのだ。

そんな父の背中は丸かった。
言葉も丸くなり、性格も丸くなった。

今のお店の状況と新しいスタッフの紹介、これからの展望と課題などを
説明した。
いつも固い話が多い。
そして父は言った

「好きなようにやってみろっ」

ゾクッとした。

広告代理店を辞める時、マジで縁を切られるんではないかと思うほど反対された。

「お前はどうしてそうなんだ!」
「甘くないぞ、社会は」

そんな父からの初めての「許可」だったような気がする。

親に初めて認められて・・・
はじめて褒められて・・・・

そんな嬉しさだった。

僕は父と離れて暮らして良かったのかもしれない。
こうしてこんな感動があるから。
離婚してくれてよかった、こんな気持ちを味わえたから。

一階のやきとんやにも分けてあのスイカを食べた。

食べながら思った。

これからは父や母を自分が支えていかなければならないのだと。

丸い背中をみて、自分の気持ちを再認識した。

性格も顔もあんまり似ていない父と僕。
彼は厳格、僕は楽天

でもその差はあまりない気がした。
イカを食べてそんな気がした。