okeiのコトバ~okeiオーナー片寄雄啓の話~

神奈川大学を卒業し、広告代理店で6年間勤務。ウルフルズ「ええねん」を聞いて、飲食店独立を決断し、退社。2年弱の修業を経て、2005年に29歳で新橋でokeiを開業。(現在、Pizzeria Terzo okei,Viva okei,酒場961,OKEI BREWERY,Atelier de terrine maison okei,filoの6店舗)飲食の事、カズやサザンのこと、人生の事。コトバノチカラを信じて日記に示したいと思います

3年という月日

2005年11月1日11:00.

この日のこの時間に僕は新橋にいた。
かばんには660万円が入っていた。

駅前のビルに入り、エレベータで4階へ。
奥の部屋へ通される。

4人いた。

そこで鞄から660万円を出し、男が数えだした。

実印と住民票などを出し、次々とはんこを押していく。
しっかりと確認をしながらも、言われたとおりに。

そう、この日僕は・・・。

今、okeiがあるこのビル2階。
この物件を取得したのだった。

6か月の物件探しでオープンのために集めたお金も少しずつ減っていた。
周りの目も気になっていた。

あいつ遊んでるだけじゃねーか。
そんな風に見えているかもしれない。。。

実際、飲みに行ってしまうこともしばしばあった。
逃げたかったから。

やりたいって言ってるのと裏腹に怖さもある。

そして契約までも怖かった。

大金を目の前にうろたえながら過ごした3年前。
鮮明どころか、今再現できるほど覚えている。

契約が終わり、ビルを出て、まずはここに向かった。
一人で鍵をあけ、まだ前のつぶれたお店のままのここに入った。

カウンターに座り、一人つぶやいていた。

始まってしまった・・・と。

あの日から今まで沢山のことがあった。
苦しくて苦しくて・・・なんてことはなかった。
辛くても悲しくても、そこにお客様とパートナーがいたから。

こうしてこの日記を書いていても涙が出てくる。
とにかく、3年、3年たったということ。
それだけ。

それだけが僕のすべて。

僕のすべては3年。

何にも言うことはない、ただただ3年過ぎた。

オープンまでの1カ月と少し。
僕は自分の将来をどう考えていたのか。

それは覚えていない。

ただ、不安だったことしかないから・・・。

でもでも、3年が過ぎたんだ。