2005年11月1日11:00.
この日のこの時間に僕は新橋にいた。
かばんには660万円が入っていた。
駅前のビルに入り、エレベータで4階へ。
奥の部屋へ通される。
4人いた。
そこで鞄から660万円を出し、男が数えだした。
実印と住民票などを出し、次々とはんこを押していく。
しっかりと確認をしながらも、言われたとおりに。
そう、この日僕は・・・。
今、okeiがあるこのビル2階。
この物件を取得したのだった。
6か月の物件探しでオープンのために集めたお金も少しずつ減っていた。
周りの目も気になっていた。
あいつ遊んでるだけじゃねーか。
そんな風に見えているかもしれない。。。
実際、飲みに行ってしまうこともしばしばあった。
逃げたかったから。
やりたいって言ってるのと裏腹に怖さもある。
そして契約までも怖かった。
大金を目の前にうろたえながら過ごした3年前。
鮮明どころか、今再現できるほど覚えている。
契約が終わり、ビルを出て、まずはここに向かった。
一人で鍵をあけ、まだ前のつぶれたお店のままのここに入った。
カウンターに座り、一人つぶやいていた。
始まってしまった・・・と。
あの日から今まで沢山のことがあった。
苦しくて苦しくて・・・なんてことはなかった。
辛くても悲しくても、そこにお客様とパートナーがいたから。
こうしてこの日記を書いていても涙が出てくる。
とにかく、3年、3年たったということ。
それだけ。
それだけが僕のすべて。
僕のすべては3年。
何にも言うことはない、ただただ3年過ぎた。
オープンまでの1カ月と少し。
僕は自分の将来をどう考えていたのか。
それは覚えていない。
ただ、不安だったことしかないから・・・。
でもでも、3年が過ぎたんだ。