okeiのコトバ~okeiオーナー片寄雄啓の話~

神奈川大学を卒業し、広告代理店で6年間勤務。ウルフルズ「ええねん」を聞いて、飲食店独立を決断し、退社。2年弱の修業を経て、2005年に29歳で新橋でokeiを開業。(現在、Pizzeria Terzo okei,Viva okei,酒場961,OKEI BREWERY,Atelier de terrine maison okei,filoの6店舗)飲食の事、カズやサザンのこと、人生の事。コトバノチカラを信じて日記に示したいと思います

何にもなかったけど、全てがあった日

今日は独立記念日
自分が29歳の時。
12月にオープンを控えた11月1日。

不動産屋へ660万円をもって歩いていた。
周りが全部敵に見えて、鞄を前に抱えて。

信用もないから、振り込みじゃダメでしてね。
目の前で600万円以上を数えて。
カギをもらって、有信ビル2階へ。

今と違い、外套もなかったこの路地へ入り、まだ雑居ビルで
3階がパチンコ屋の控室、4階がサラ金の事務所。
地下は空いていて。

周りも廃墟。
銀だこもなく、夜には全く暗くなる通りだった。

入って、カウンターに座り、


始まってしまった


そういった自分を覚えている。

何にもない自分。
でも仲間がいた。
誰も飲食業じゃなくて、一人一人が何となく動いて掃除してみたり
運んでみたり、分解してみたり。

最初は食洗器がなくて、みんな洗っていて。
これはないとまずいって買って。

みんな口をそろえて

okeiとお店をやってくれる人に失礼だからちゃんときれいにしようぜ!

そういってスーツのまま、居ぬきで借りたこの場所を綺麗にしていってくれた。

飲食経験があるとかないとか
今もそれだけですべてを図ろうとしないのはこの時の気持ちがあるから。
それだけでは、飲食業はできないから。

何にもないけど、何でもある気がしていた。

この11月1日はそんな何にもない自分の象徴なんだ。

みんな最初は何にもないから。