okeiのコトバ~okeiオーナー片寄雄啓の話~

神奈川大学を卒業し、広告代理店で6年間勤務。ウルフルズ「ええねん」を聞いて、飲食店独立を決断し、退社。2年弱の修業を経て、2005年に29歳で新橋でokeiを開業。(現在、Pizzeria Terzo okei,Viva okei,酒場961,OKEI BREWERY,Atelier de terrine maison okei,filoの6店舗)飲食の事、カズやサザンのこと、人生の事。コトバノチカラを信じて日記に示したいと思います

オレンジ色

このお店にはオレンジ色の椅子がある。
「かわいい座りやすい椅子ですね、さすがセンスが良い!」
なんて褒められるけど・・

実はもともとつぶれたお店からあった椅子である・・・。

ま、それも買った僕は僕なんだが・・・。

そもそも壁もオレンジ色の部分があったぐらい、オレンジ一色のお店だった、つぶれたお店は・・・。

ふとこの椅子をじっと見ているとオープン前、初めてこのお店に内見しに来た時を思い出す。
ドアを開けたとき、あのオレンジの椅子が見えて・・・

「これで内装●●●万円なら安いかも\\\」
と思った。

何度もいろんな物件で「負けて」きた自分にとっては「こここそ逃すまい」と思えた瞬間だった。

今では「場所が良かったよね」と言われるが、契約前は周りの人に反対された。
今までのお店がすぐつぶれていたからだ。

そういう時はそういう目で見るからどんどん悪いところしか見えなくなるもの。
だから自分の感性しか頼りにせずに契約を決めた。

不安だったけど理想に近かったから。

今では僕がお店に来るころには階段をあがるときに準備の音がこぼれてくる。
「おはようございます」

そう二人に言われる瞬間に僕は感謝するんだ。

「椅子がオレンジでいてくれてありがとう。目を引くオレンジがあったからここに決めたかもしれないから」

僕にとってオレンジ色が特別な前向きな色に思えてきた。