一年前くらいか。
もう少し前かな・・・
24時を回ってからご来店いただける家族がいました。
いつも姿勢もよく、行儀もよく、家族だんらんをして頂いていました。
だんだん仲良くなって、お話をするようになり・・・。
近くの居酒屋さん、有薫酒蔵の家族だと知りました。
それから何度となくご来店いただき、もうお友達のような感じ。
お父さんお母さんはわが子を見るように僕を応援してくれます。
僕は褒められるたびに明日への力を頂いています。
そして昨日も来店してくれた・・・。
24時近くなるとおもむろに乾杯する家族。
そしてお花を出した息子。
そう、彼らは結婚42周年のこの日、僕の店に来てくれた。
何でもお父さんが来たいと言ってくれたようだった。
いつもおいしい美味しいと嬉しそうに食べるマルゲリータとニョッキ。
僕はその顔や声を聞く度にぐっとくる。
僕にとっては35年お店をやっていること。
42年夫婦でいること。
そのどれをとっても雲の上のこと。
まだお店は2年だし、親も離婚しているから42年続いている夫婦のそばには生きていないから。
僕らからささやかなプレゼントとして
おめでとうメッセージの書いたデザートをお出しした。
それを本当に嬉しそうに写真を撮り、きれいだきれいだと言ってくれた。
御病気をされたり、お店がうまくいかない時も沢山あったようだ。
でもずっと続けてきた力がそこにはある。
僕のことをほめながら、大丈夫、大丈夫、色々あるけど。。。、
そのいろいろがまだわからない僕には神様のように見えた。
それは辛さなんて見せないで、
ただただ来てくれるお客様に顔を見せたいから・・・。
そんな言葉がお母さんから聞けた時にはハッとした。
僕も何年たってもそう言える自分を持っていようと。
そしてそんな気持ちになっていると横でウルウルしているシェフがいた。
息子が両親の結婚記念日に出した花、そしてその気持ちがあまりにきれいで
泣けてきたようだ。
僕と同じ感性を持ち合わせている彼を僕は嬉しく思った。
そしてそんな彼と出会えただけでも幸せなのに
こうして人生の大きな部分を共有していることを誇りに思った。